
石鹸というのは明治時代からある歴史の長い洗浄剤です。
一般的には、環境に良いとか肌に優しいと言われていますが、実はそんなことはないんです。
洗浄力の強い石鹸(石鹸シャンプーも含む)は髪の毛や頭皮に対しても強い刺激を与えますし、界面活性剤であり、化学物質でもあります。
ただ使い方や使う人によっては良いシャンプーになる場合もありますし、使い方が悪かったり、体質に合っていないと悪いシャンプーにもなります。
今日はそんな石鹸シャンプーについて書いていきたいと思います。
石鹸シャンプーって何?
まず石鹸シャンプーというのはどういうものかというと、皆さんご存じの通り「石鹸」でシャンプーをするということなんです。
えっ?石鹸でシャンプーするの?と思われるかもしれませんが、石鹸シャンプーは明治時代からありますし、現代でも根強いファンも多いんです。
石鹸系シャンプーの特徴

泡立ち良し。
まず石鹸系シャンプーの特徴は何といっても洗浄力が強いことです。
そして固形と液体の2種類があります。
使ったことない方は固形?と思われるかもしれませんが固形なんです。
どちらかと言うと、固形は泡立てにくいので、液体の方が洗いやすいというお声が多いですね。
石鹸シャンプーは安全ではない?

ビフォー。
そして石鹼シャンプーについてはすごく間違った思い込みをされている方が多いんです。
みなさんは石鹸が「体に優しい」とか「環境に良い」と思っていませんか?
確かに石鹸は生分解性と言って自然界で微生物などによって分解されやすく、環境には良いと言えます。
しかし実際にシャンプーとして使う場合は実は「安心安全とは言いにくい」んです
一般的に石鹸は「天然成分で安全」とか「化学物質が使われていない」などと書かれていたり「界面活性剤不使用!」
という触れ込みと共に販売される石鹸シャンプーや石鹸ボディソープが多くありますし、「手肌に優しい」「環境に良い」「身体に良い」
というような健康的な商品と認知され、人気もあるので使用する人も多いし、肌荒れやアトピーなどにも「無添加石鹸」が良いと思われている方も多いんじゃないかと思います。
そう世間一般では「セッケン=健康に良いもの」という認識があるかもしれませんが、それは販売する会社のイメージ戦略だと思っていただく方が良いと思います。
実は「石鹸」はれっきとした界面活性剤であり、化学物質なんです。
石鹸シャンプーの成分は?どうやってできているの?

では石鹸シャンプーはどんなものなのか説明していきますね。
成分的なお話になってしまうのでちょっと難しいですが、できるだけかみ砕いて説明していきたいと思います。
石鹸シャンプーのアルカリ性は肌に刺激を与える
石けんは、油 ・ 水 ・ かせいソーダ(別名:水酸化ナトリウム) でできています。
そして石鹸は「弱アルカリ性」なんですね。これは全ての石鹸にあてはまります。
この「弱アルカリ性」という性質が髪の毛を洗う時のリスクになっちゃうんです。
セッケンの持つ弱アルカリ性は、人間の皮膚に対して刺激を与えます。
これが髪の毛にどう影響するかというのを説明しますね。
石鹸シャンプーはキューティクルをはがれやすくする
1本の毛髪は、3つの層からできていて、一番外側をキューティクル、中間部をコルテックス、中心部をメデュラといいます。
この3層の1番外側をキューティクルと言います。
このキューティクルというのは髪の毛の外側をパズルのように何層も重なって毛髪を保護しているんです。
外部の刺激から毛髪内部を守ったり、水分やコルテックスのタンパク質が失われないようにしたり、髪につやを与えてくれるんです。
このキューティクルを、アルカリ性の石鹸で洗うことではがれやすくしてしまい、髪の毛をギシギシにしてしまいます。
これが石鹸シャンプーの髪の毛に対しての最大のデメリットなんです。
そしてセッケンの持つ洗浄力は界面活性剤の中でもかなり強い部類に入ります。
それは洗浄力だけで言うとラウリル硫酸やラウレス硫酸などの高級アルコール系界面活性剤と変わらなぐらいの力があります。
この強い洗浄力を持ったアルカリ性の石鹸シャンプーは、頭皮を守る弱酸性の「皮脂」を中和反応で簡単に取り除いてしまいます。
頭皮の脂を取る力がとても強いということなんです。
今までの説明でいうと石鹼シャンプーの洗浄力の強さはすごいということがわかっていただけましたでしょうか。
ただここまでの説明だと全く良いことがないシャンプーのように聞こえますがそんなことはないんです。
次は石鹼シャンプーのメリットについて説明させていただきます。
石鹸シャンプーのメリット
洗浄力の強さ
洗浄力が強すぎるというお話をしてきましたが、反対にしっかり洗いたい方にとっては良いシャンプーということになります。
特に男性は30代、40代になると皮脂の分泌量が増えてきますし、もともと脂性の方は石鹸シャンプーファンの方も多くおられます。
洗浄力や脱脂力が強いから髪の毛が少なくなるかといえば、一概にそうとも言えません。ヘアマニア店舗に通っておられるお客様の中にも長年石鹸シャンプーを気に入って使い続けて、髪の毛がふさふさの方も多くおられます。
髪がしなやかになる
そして、石鹸シャンプーで髪がしなやかになる人もおられます
今まで説明してきたように、せっけんシャンプーは洗浄力が強く、使った人は髪が相当キシキシになります。
しかし、石鹸シャンプー愛好家の方は「そんなことないよ、髪はサラサラだし、それでいて強くなった」と言われる方が多いんです。
せっけんシャンプーを使ってキシキシのなった人からすると信じられないかもしれませんが、この理由を説明しますね。
石鹸の特異性が髪に良い影響を与える
その理由はセッケンの持つ特異性によります。
これは相当ややこしい話になるのでポイントだけ絞って簡単にお伝えしますね。
セッケンというのはアルカリ性の領域では強力な界面活性剤の性質を持ちますが、酸性の領域では「高級脂肪酸」という油性物質の性質を持ちます。
高級脂肪酸とは、オリーブオイルやツバキ油などの、髪に対してコンディショニング効果のあるオイルの成分の主要物質なんです。
つまり普通なら界面活性剤として働き、強い洗浄力で髪をキシキシにしたりします。
しかし、なんらかの方法でそれを弱酸性にしてしまえば、界面活性剤としての性質はなくなり、キューティクルの剥離(はくり)を抑えるだけでなく、髪をコーティングし、毛髪にしなやかさを与えることができるのです。
こういう方はせっけんシャンプーがピッタリ合うということですね。
ただ使い続けないとこのような作用が出るかは分からないですし、最初から「しなやかになったよ」と言う方もおられますので、やはりせっけんシャンプーは「合う、合わない」と言うのがはっきり分かれるんだと思います。
石鹸シャンプーを使う時の注意点
注意点として、固形を使う場合は、泡立てネットで泡をできるだけしっかりと立ててから髪を洗いましょう。
石鹸を髪の毛や頭皮にこすりつけるのは絶対NGです。
あと先ほども説明しましたが頭を洗う時、石鹸シャンプーのアルカリによって髪の毛の表面のキューティクルがはがれやすい状態になっています。
キューティクルがはがれやすい状態で髪をゴシゴシこすると、さらに髪の毛にダメージを与えてしまいますので、石鹸シャンプーを使うときはできるだけ摩擦を起こさないよう、髪の毛を包みこむように優しく洗いましょう。
そして石鹸シャンプーには髪の毛を補修したり保護する成分は入っていません。
長時間泡をつけるほど髪や頭皮にとってはダメージになります。
できるだけ短時間でサッと洗うことを心がけましょう。
最後のお流しする時も同じです。水圧の高いシャワーを使い、できるだけ髪の毛に対する摩擦を軽くするイメージで優しくソフトにササっと流しましょう。
この「時間をかけずに洗う」というのが髪の毛や頭皮、身体も含め、石鹸を使うときの鉄則です。
石鹸シャンプー後には酸リンスを
そしてシャンプー後には酸リンスをすることをおすすめします。
男性は「石鹸シャンプーで洗ったあとのフンワリ感が好き」と言われる方が多いです。
しかし、石鹸はアルカリの洗剤ですから、シャンプー後は髪の毛もアルカリに傾いています。
髪がアルカリに傾いている状態と言うのは、外部からのダメージも受けやすくなっていますし、キューティクルも開いているのでキシキシになります。
石鹸系のシャンプーはだいたいセットでリンスもを売っているのでぜひ一緒に使われることをおすすめします。
石鹸シャンプーの頭皮に与える影響
頭皮に関しては、個人差はありますが、皮膚の表面がアルカリになってもシャンプー後皮脂がすぐに分泌しだし、40代男性なら24時間後には元に戻るので問題ないという意見もあります。
しかし、皮脂を取りすぎると人間の体は「もっと皮脂を出さなくちゃ」という反応を起こし、皮脂の過剰分泌や頭皮トラブルの元にもなりますので、こちらも皮膚を優しくマッサージするように洗う方が良いと思います。
最近は頭も体も一緒に洗える石鹼シャンプーもありますが、身体に関していうと、体の皮膚は皮膚表面の角質が強いので普通に洗っても問題ないですが、やはり強く洗いすぎると皮膚に負担がかかり、肌荒れや皮膚トラブルの元にもなってしまいますので、ほどほどに洗うことをお勧めします。
そしてやはり洗浄力、脱脂力が強力なので、敏感肌・アトピー肌の方は極力使用を避ける方が良いと思います。
カラーやパーマをしている人は石鹸シャンプーNG!
あと、パーマやカラーをしている方に石鹸シャンプーはおすすめしません。
カラーやパーマをすしても髪の毛はアルカリに傾きます。
本来はそれを中和して弱酸性に戻すのが理想ですが、石鹸シャンプーを使うとアルカリ状態が長く続いてしまったり、毛髪が変性して硬化する場合もあります。
カラーやパーマを施術して弱くなっている髪の毛にはアルカリ性の成分は使わないほうが良いということですね。
石鹸シャンプーの選び方
石鹸シャンプーも普通のシャンプーと同じように配合されている成分によって使用感や質は多少違います。
良い油脂から作られる石鹸は確かに質が良いですし、1個何千円もする高級石鹸などもありますが、正直石鹸と言うのは原価がとても安いんです。
原価100g5円~10円のものが、販売価格になると「無添加」のような言葉でイメージを良くすることで数千円になったりもします。
ただ成分が良いからと言って、石鹸以外のシャンプーほど質としては変わらないと思います。
だから、石鹸シャンプーの中でどれを使えば良いか迷っておられるなら、使用感やきしみ具合、香りの強さは多少違いますので、ご自分が良いなと思われるもので問題ないと思います。
まとめ
今日は石鹸シャンプーについてお話させていただきました。
石鹸シャンプーのことが少しでも理解していただき、ご自分に合うシャンプー選びのお手伝いができればなと思います。
シャンプーは何百種類もあり選ぶのが難しいと思います。
そして万人に合うシャンプーと言うのはないです。
みなさんそれぞれの髪の長さや質、頭皮の性質やその時々の状態によって使った方が良いシャンプーも変わってきます。
皆さんそれぞれがご自分の肌質や髪質を理解し、その上でご自分に合う良いシャンプーを見つけるお手伝いができていれば嬉しいです。
今日も最後までご覧いただき本当にありがとうございました。