ノンシリコンシャンプーって聞いたことありますか?
シャンプーのCMなどでよく使われているので知っている方も多いんじゃないでしょうか。
ノンシリコンって髪に良いイメージないですか?
「シリコンはよくない」みたいな感じで思われているかもしれませんね。
でも実はシリコンは髪の毛にとって悪いものではないんです。
それどころかもともとは口に入れても良いぐらいの「安全」なものなんです。
じゃあ「シリコンシャンプー」が悪くて「ノンシリコンシャンプー」は良い。
なぜそう言われるのか?
それは本当なのか?
今日はそんなノンシリコンシャンプーが本当に髪の毛や頭皮にとって良くないのか?というのを、理容師として100種類以上のシャンプーを使用してきた目線から、検証していきたいと思います。
そもそもシリコンって何なの?
シャンプーで使われるシリコンは豊胸で使うシリコンとは違います。
シリコンというのは作り方によってオイルのように使われたり、ゴムのように使われたり、様々な用途に使われているんですね。
シャンプーに入っているシリコンは、化粧品にもよく使われるタイプで、髪の毛を洗う時に髪の毛をコーティングして指の通りをよくしたり、きしみやごわつきを軽減するものなんです。
そしてシリコンはコーティング剤の一種で、髪に皮膜を作る性質があります。
まずここでシャンプーは何のためにするのか考えてみましょう。
シャンプーは何のためにするのか?
シャンプーの役割は頭皮と髪の毛の洗浄です。特に頭皮の毛穴のまわりには、臭いや酸化の原因となる皮脂が分泌されるので、その皮脂を取り除いて頭皮をきれいにするという役割があります。
そのシャンプーに、シリコンというコーティング剤を入れたら頭皮や髪に良くないんじゃないか?という発想でノンシリコンシャンプーが良いと言われているんですね。
でもなぜコーティング剤をシャンプーに入れるのか?ってことです。
頭皮を洗浄するのに、シリコンが邪魔しそうな感じもしますね。
確かに洗浄する事だけを考えれば、シリコンはシャンプーに必要のない成分です。
シリコンをシャンプーに入れなければいけない理由は界面活性剤(洗浄成分)にあります
界面活性剤(洗浄成分)についてはコチラの記事に詳しく書いています。
シャンプーの洗浄成分
洗浄成分(界面活性剤)には
・高級アルコール系
・せっけん系
・アミノ酸系
・ベタイン系
などたくさんの種類があります。
これらの界面活性剤を、用途により組み合わせて使用するんですね。
その中でも高級アルコール系の「ラウレス硫酸」やラウリル硫酸という成分は少量でも泡立ちがよく、とにかく安価で作れるので低価格のシャンプーには大量に配合されています。
硫酸と言ったらなにかこわい感じもしますが、劇薬をそのまま頭にかぶるというわけではないので安心してください。
でも硫酸というだけあって洗浄力は強く、頭皮や髪の汚れは落ちるけど洗浄力が強すぎたり、髪の毛が絡みやすくなったり、ギシギシになったり、使用感が悪かったりという問題があります。
ラウレス硫酸などの洗浄成分が強すぎて、ギシギシになってしまうからシリコンを入れて指通りを良くしたり使用感をよくしたりするんですね。
だから値段は上がりますが、「アミノ酸系」や「ベタイン系」などのマイルドな洗浄成分(界面活性剤)を中心に作れば十分洗浄力があり指通りのよいシャンプーは作れます。
洗浄成分に何を使うか?というところが問題なんですね。
➥ラウレス硫酸などの高級アルコール系界面活性剤ってどんなものなの?
シリコンシャンプーは安全?
実は「シリコン」と言うのはとても安全な性質を持っています。
シャンプーやリンス、トリートメントの他にも
・食べ物を加工するときの消泡剤と言う添加物として
・化粧品を伸びがよくべたつかない肌触りにするための分散剤として
・日用品のティッシュペーパー、リンス、柔軟仕上剤を繊維(せんい)表面によく馴染ますため
などその他にも日常生活に欠かせないぐらい色々な製品に使われているんです。
それはシリコンが
・飲み込んだとしても全く害にならない
・外部からの熱や摩擦など影響を受けても変質しない
という特徴から科学的にも「安全性、安定性」が証明されているからなんです。
よく「シリコンが毛穴に詰まる」「頭皮によくない」という話も聞きますがそんなことはないんです。
シャンプーは基本的には洗い流しますし、頭皮もターンオーバー(表皮の新陳代謝)によってはがれていくので、シリコン自体がちまたで言われるほどの悪影響はありません。
なぜシリコンが良くないと言われているのか?

良くない!?
ここからはシリコンが良くないと言われている理由について説明していきますね。
元々シャンプーで頭を洗うと、髪に微弱な弱い電気が発生するんです。
シャンプーした後に髪の毛がごわついたりとか、いうことをきかなかったりするのはこの電気をもった毛髪が互いに反発し合うから。
そして、そのごわつきを解消するために「リンス」が作られたんですね。
でもシャンプーをした後にリンスをするのって2度手間だなと感じる人が多かった。
なので、リンスをしないでも髪をサラサラにできるように、シリコンインシャンプーができたんです。
そして多くのシャンプーにシリコンが入れられるようになりました。
今でもシリコンインシャンプーはありますが、体に害があるかと言えば特に問題はありません。
なぜならシリコンは安全だからです。
ノンシリコンシャンプーのデメリット
しかしこのシリコンインシャンプーにもデメリットがあったんです。
それは髪の毛の外側をコーティングするため、「カラーやパーマがかかりにくい」ということ。
これは事実で、多くの理美容師が体感していました。
そして、このシリコンインシャンプーのデメリットは、シャンプーを製造販売する会社にとって、ノンシリコンシャンプーを売り出しやすい状況を作りました。
シリコンが安全だということを忘れさせるぐらい、カラーやパーマがかかりにくいという小さなデメリットを誇張して宣伝することで、シリコンのイメージを悪く作り上げたんです。
そこで世間の皆様が知っているような、シリコンインシャンプーのイメージが出来上がります。
・シリコンが髪に付着してとれなくなる
・毛穴に詰まって薄毛になったり髪の毛や頭皮にダメージを与える
・体にとって有毒である
このようなデメリットがあるイメージがついてしまったんですね。
しかし、このようなイメージは事実ではありません。
売る側の戦略上、シリコンを悪者にする必要があったんです。
シリコンがかわいそうな気もしますねー
シリコンは悪い?
シリコンをとても悪いものであるように設定し、シリコンが入っているシャンプーは「悪いシャンプー」だという宣伝の仕方は見事に当たり、世の中の多くの方は「シリコン」が何なのかよくわからないけどシリコンが入っているシャンプーは良くないから「ノンシリコンシャンプー」を買おう。みたいな大きい流れが出来上がりました。
シリコンを悪者にしてノンシリコンをより良いものに見せるという売り方、販売戦略はとてもうまいですね。
「シリコン」という単語も覚えやすくインパクトが強いというのも後押ししたかもしれません。
そして悪者に仕立て上げられたシリコンが入っていない「ノンシリコンシャンプー」が大人気になったんです。
ただ、このノンシリコンシャンプーには大きな問題があります。
もともとシリコンはシャンプーだけでは髪がきしんだりごわつくので、そのごわつきを取ったり、髪をサラサラにするために配合されたんですね。
で、そのシリコンをなくしてしまうとまた元通り使用感が悪くなってしまったんです。
本当に良いシャンプーとは?
シリコンを入れずにごわつかない、きしまないこだわりの良いシャンプーを作ろうと思うと、良い界面活性剤や成分をタップリ配合しなければいけません。
そうなると、コストはハネ上がりシャンプーの販売価格も上がります。
これが一般的には販売されていないサロン専売品やネットでしか売っていないような種類のシャンプーなんですね。
ただ世の中の多くの人でシャンプー1本に3000円~5000円も使う人はごくわずかです。よほどこだわりのある方か、美容師さんに勧められたかのどちらかの方じゃないでしょうか。
だからシャンプーを売る会社としては、多くの方に買ってもらおうと思うと、安くしないと売れないんです。
そういう理由で今スーパーやドラッグストアで販売されている1000円未満の「ノンシリコンシャンプー」は、コストを抑えなければいけないから、髪の毛や頭皮には刺激が強い安価な界面活性剤が使われていますし、成分的にも良いと言われている成分はあまり配合されていません。
そうなると、やはり髪がパサついたり、きしんだりと言う風になりますね。
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ノンシリコンよりシリコンインシャンプーが良い!?
だから市販の安価な成分がメインで使われているノンシリコンシャンプーには、サラサラ感やツヤツヤ感はでは表現できないので使用感は良くない。
こうなると何のためのノンシリコンシャンプーなのかと言うのが分からなくなってきますね。
他の成分との兼ね合いもあるので一概には言えませんが、ノンシリコンシャンプーより、シリコンインシャンプーの方が使用感が良いということも十分あるということです。
なので結局「ノンシリコンシャンプー」が良いかどうかと言われると一般的にスーパーやドラッグストアで販売されている値段が安い「ノンシリコンシャンプー」はおすすめできるものではないということなんです。
ここまでのお話ではじゃあシリコンインシャンプーの方が良いんじゃないか?
ということなんですが、それもシャンプーの難しいところで良いシャンプーの前提条件として最も大切なのは、シリコンが入っているとかいないとかではないんです。
シャンプーの質の良し悪しを決めるのはまず「界面活性剤」+他の成分が目的によってうまく配合されているかということです。
そして本当に良いノンシリコンシャンプーというのはまず
洗浄成分(界面活性剤)に良い成分が使われているということが大前提になってきます。
そのうえで補助成分などにも髪や頭皮に優しい成分が入っているシャンプーが良いということになります。
成分が良いからシリコンを使わなくてもきしみや、パサつきが出にくい。
それが本当の意味で良いノンシリコンシャンプーなんです。
シリコンシャンプーの成分
一応自分のシャンプーにシリコンが入っているかどうか気になる方へ成分を書いておきますね。
シャンプーには必ず入っている成分を全て書くというルールがあります。
・ジメチコン
・シクロメチコン
・シロキ
・シリカ
・メチコン
という言葉がつく成分が入っているのは全てシリコンシャンプーです。
良いシャンプーとは?
最後になりますがシャンプーの質も大事なんですが「良いシャンプーの定義」というのは人それぞれ違うということです。
カラーもパーマもしていない全くの健康毛の方や、男性の短髪の方、髪の毛に悩みのない方や、髪の傷みが気にならない方で「シャンプーにこだわらない」方は市販のシャンプーを使われても全く問題ないと思います。
質の良いシャンプーを使っても、効果が感じられないことも往々にしてあります。
シャンプー1本に5000円もかけるなら他のことに使いたい。と思われる方もおられるでしょう。
それはそれで正解なんです。無理に高いシャンプーを使う必要もないと思います。
なので皆さんそれぞれの髪の悩みや欲求、シャンプーに求める効果、価格も含めて「良いシャンプー」は人によって違うということです。
ただ髪の毛や頭皮に何かしらの悩みがある方は、まず成分の良いシャンプーを使われることをおすすめします。
こういうことをいうとじゃあおすすめのシャンプーを教えてよ。と言われるんですが、繰り返しになりますが、良いシャンプーの定義は人によって違います。
「Aさんにとっては髪にツヤが出て喜ばれる良いシャンプーがBさんが使うとかゆみが出て頭皮トラブルが起こってしまう」なんてことが実際によくあります。
同じシャンプーでも使う方によって良くも悪くもなるということなんです。
まとめ
以上今日はノンシリコンシャンプーについてお話させていただきました。
ノンシリコンシャンプーのことを少しでも理解していただき、ご自分に合うシャンプー選びのお手伝いができればなと思います。
シャンプーは何百種類もあり選ぶのが難しいと思います。
そして万人に合うシャンプーと言うのはないです。
みなさんそれぞれの髪の長さや質、頭皮の性質やその時々の状態によって使った方が良いシャンプーも変わってきます。
肌質や髪質を理解し、その上でご自分に合う良いシャンプーを見つけるお手伝いができれば嬉しいです。
今日も最後までご覧いただき本当にありがとうございました。
今後も皆さんの大切な髪の毛や頭皮の健康をを守るための情報を発信していきたいと思っております。
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