
一昔前まで”男性だけの悩み”と思われていた「薄毛・脱毛症」も、現代では女性も例外ではなくなっているようです。
急増する女性の薄毛や脱毛症に対処するための「女性用育毛剤」もよく目にするようになりました。
ただし、”育毛剤を使えば髪が生える”と思い込むのは間違いです。
育毛剤の使い方にも細心の注意を払わなければ、逆効果になることもあります。
今日は本当に効果の実感できる育毛剤の使い方について書いていきたいと思います。
育毛剤で失った毛は生えない
美容師という目線で数多くのお客様と接する中で思うことは、育毛剤を本数が少なくなってきた髪の毛が生えると思って使用している方が多くおられます。
1つ言っておくと育毛剤で髪の毛が生えるということはありません。
脱毛の原因にもよりますが、育毛剤の用途は抜け毛を減らしたり、今ある髪の毛の成長を助けたり、頭皮に栄養を与え、頭皮環境を整え、髪の毛が生えやすい状態を作るということです。
あくまで生やすというよりは、脱毛予防という感覚で使用されるのがいいと思います。
脱毛の原因を知る
育毛剤で毛が生えるのは、脱毛の原因が
・薬の副作用で一時的に脱毛した場合
・ストレスなどで急激に脱毛した場合
これらの場合でも、髪が生えると言いうよりは、生えてきた毛の成長を助けるという意味あいですね。
でも、女性の薄毛の多くは「FAGA」という脱毛症が原因になることが多いです。
まずは脱毛の原因を知り、それぞれの原因に適切に対処することが大切です。
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育毛剤は正しく使ってこそ効果が発揮される
”女性の薄毛”といっても、原因はさまざまです。
・女性の薄毛・脱毛症には、
・女性ホルモンが関係するもの
・生活習慣が原因となるもの
・ストレスなどの精神的な要因から引き起こされるもの
など、多岐にわたります。
また、育毛剤もオールマイティーに対応してるものはあまりありません。
複雑なメカニズムをもつ女性の薄毛の原因に、ピンポイントで効くように成分配合を調整しているのがふつうです。
育毛剤は自分に合うものを選ぶ
そのため、自分の薄毛の原因に合うものを選ぶことが大切です。
また、多くの方が育毛剤の効果を”焦りすぎる”傾向にあるといえます。
「育毛剤を使ったからすぐに抜け毛が減るわけではない」ということが分かってはいてもやはり
「早く効果が出てほしい」
という気持ちになりますよね。
でもね、どれだけ高機能な育毛剤であっても、効果が現れるためには数ヶ月の時間を必要とします。
育毛というのは長期戦です。
じっくり焦らず忘れずに効果を待ちましょう。

髪には「毛周期(ヘアサイクル)」という髪の成長サイクルがあり、仮に効果の高い育毛剤であったとしても、変化が実感できるのは、使い始めてしばらく経ってからです。
「この育毛剤は効かなかった・・・」と短期間であきらめてしまい、また違う育毛剤を購入する・・・
”育毛剤が効かない”という人の多くが、こういった行為を繰り返しているようです。
現在販売されている育毛剤のほとんどは、医学的にも効果が認められた成分を主体に作られています。
育毛剤の効果を実感するには、「少しの知識と忍耐力」が必要だということを心得ておきましょう。
本当に効果を実感できる育毛剤の使い方とは
育毛剤の本領を発揮させるためには、「育毛剤の選び方」と「適切な使用方法」を熟知しておくことが大切です。
薄毛を悪化させたり、せっかくの良い育毛剤を無駄にしないためにも少し勉強しておきましょう。
効果的な育毛成分が入っているものを使う
育毛剤選びの最重要ポイントは「成分の確認」です。
「髪が蘇る!」などの広告文にひかれて購入することは、絶対に避けなければなりません。
男性用育毛剤には、過去から現在まで、多くの「粗悪で効果のない育毛剤」が売られてきたという事実があります。
これから初めて育毛剤を購入しようという女性なら、詳しい成分などは知らないはずですから、こういったまがい物に騙されてしまう危険性は大いにありえます。
「厚生労働省」が効果を認めているものや、海外の国家機関などで効果が確認されているもの、また「日本毛髪学会」「日本皮膚学会」や、科学誌などが認めている成分がおススメですね。
以下に、現在育毛効果が確認されている成分を挙げておきます。
育毛効果の期待できる成分
- センブリ
- オウゴンエキス
- エビネランネキス
- M-034
- グリチルリチン酸ジカリウム
- ショウキョウエキス
- 酢酸トコフェロール
- クジンエキス
- ジフェンヒドラミン
- ノコギリヤシ
育毛剤を浸透させやすい頭皮環境をつくっておく
薄毛の改善は、「2つの要素」に分類して考えると理解しやすいようです。
- 「発毛メカニズム」に効果のある方法や成分の選択
- 髪の土台である「頭皮のコンディションを整える」
発毛効果の高い成分が入った育毛剤を用いたとしても、髪の土台が乾燥したり皮脂過剰であったりすると”浸透しずらい”といったことが起こります。
育毛剤の有効成分の能力を引き出すためには、頭皮ケアをしながら「浸透しやすい皮膚環境」をつくっておくことが大切です。
現代の女性の「頭皮環境を悪化させているもの」があり、まずはこれらに注意を払うことを忘れてはいけません。
頭皮環境を悪化させるもの
- 合成界面活性剤の含まれたシャンプー
- シリコンの含まれたシャンプー・リンス・コンディショナー
- 強力な粘着力のある整髪料(ヘアスプレーなど)
- ヘアカラーや白髪染め
- パーマ
ほとんどすべてのヘアケア製品が対象になるといってもいいですね。のあるヘアケア用品を十分に吟味して購入する必要があります。
すぐに結果を求めず根気よく使い続ける
薄毛が気になり始めたら、こういった頭皮環境を悪化させる可能性
冒頭でも少し書きましたが、育毛剤を使うときに「焦り」は禁物です。
多くの方が育毛剤を使って失敗する場合、我慢しきれずに途中で断念するケースがほとんどです。
髪には「ヘアサイクル」という成長の時間配分があり、成長に2~6年、休止期という脱毛期間に3~4ヶ月という時間で新しい髪と入れ替わります。
育毛剤の成分によって、どの時期に影響を与えるのかはそれぞれですが、どの有効成分でも使い始めて数日で効果が出るようなものはありません。
有効成分が浸透し、乱れたヘアサイクルが矯正された後、健康な髪が生えてきます。
もう1つ重要な注意点があります。
育毛剤で毛が抜ける?
薄毛になるということは、髪の製造工場である毛根部の「毛母細胞」の細胞分裂が”鈍っている”ことが原因です。
そして、育毛剤の効能によって効果が現れるとき、場合によっては「初期脱毛」という髪の量が減ってしまうという現象が起きることがあります。
多くの場合「たいへんな育毛剤を使ってしまった!失敗だ!」と大騒ぎするものですが、これも大きな勘違いです。
この状態を育毛効果の「初期脱毛」といい、いわゆる”好転反応”というものです。
育毛剤の効果によって毛母細胞が活性化されると、ヘアサイクルをリセットしようという動きを発毛器官がはじめます。
そうすると、すでに「髪」として残っているものが邪魔になるために、それを先に脱毛させてから”新しい髪を作ろう”とする働きです。
初期脱毛が始まれば、髪が復活し始めている兆候だということです
このように、育毛剤に関しては「結果を求めず根気よく続ける」ということが基本だと覚えておきましょう。
育毛剤を使用し、本当に効果を実感するためには、いくつかの正しい知識が必要だということがお解りいただけたはずです。
現在の育毛剤市場は非常に充実していて、昔のような効果の怪しいまがい物も少なくなっています。
正しい育毛剤選びの方法を覚えて、そして適切な使用法を実践し、女性の薄毛をうまく乗り越えましょう。
〈まとめ〉
- 育毛剤は正しい選び方と使い方をしなければ効果が現れない
- 医科学、厚生労働省などが認めた成分を配合している育毛剤を選ぶこと
- 育毛剤が浸透しやすい頭皮環境をつくっておくこと
- 育毛剤の結果を急がず根気よく使用を続けること